松平頼暁声楽作品集(コジマ録音) 細川俊夫作品 音宇宙Ⅹメモリー(フォンテック)
半透明の赤黒い幕(膜)に舞台は終始覆われていた。
幕には「接吻」、「噛」等、針金のような線状の文字が刺繍されていた。
あごうさんの「薔薇祭を」の言葉から
周期的なノイズ音が現れ、打楽器奏者、葛西友子さんの演奏する唸り木(唸り笛?)から事は始まった。
時にリンの音が空間と時間を同時に区切った。
後半になって、アキレス(辻本桂さん)が赤縄で縛られ卍のようなかたちで舞台の上高く宙吊りにされた頃から表現が激しさを増していった。
ペンテジレーア(ベルリン生まれのマリー・ハーネさん)が錯乱したかの様にドイツ語で叫びちらした。それに対して、侍女役兼歌手の太田真紀さんがドイツ語で、素早いシュプレッヒシュティンメを交え、切れ味鋭く歌い、語っていくシーンで、クールな緊張感が強度と速度を伴って交錯した。
それが静まると、今度は高く宙吊りにされ、ゆっくりと揺らいでいた赤縄の卍アキレスが、地に坐している太田宏さん、村岡優妃さんらの声明(オラショ?)の太い唸りに合わせて静謐に地上に降りて来るシーンが展開。私はドローンミュージックと言われているラ・モンテ・ヤングのSHANDARから出ていたLP(1974年)を想起した。
その後、いきなりマリーさんがジーンズを履いて、赤い口紅を付けていくシーンとなり、今度は昔どこかで見たジェーン・バーキンのAPOCALYPSTICKの映像を想起させられた。
La Monte Young/Marian Zazeela-The Theatre Of Eternal Music(Shander83510)
伊左治直作品集「熱風サウダージ劇場」(フォンテック)